【 4475】HENNGE(株) ~気づいたら取引先が利用しているIDaaSの会社 PER136.9倍の謎に迫る~

ロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年2月以降、サイバー攻撃が急増しています。

参考:ウクライナ侵攻前後に急増したサイバー攻撃の脅威、企業が今やるべきことは

そのため、今回はセキュリティー関係の銘柄を取り上げます。

ウルトラマンのCMを流している会社です。

ご存じでしょうか?

https://www.youtube.com/watch?v=IYYUtJ9ysLE&list=TLGGgJmAcMF2aFMyNzA1MjAyMg&t=18s

クラウド・セキュリティ分野で7年連続市場シェアNo.1を誇る「HENNGE One」を提供しているHENNGE(株)です。

今年に入り、管理人が取引先からの資料を受け取るときは、

「グーグルドライブ」か

「HENNGE Secure Transfer」です。

じわじわ、HENNGE(株)のサービスが浸透してるのを感じてます。

2022年5月時点の米国の金融引き締めに伴う全面安にも関わらず、

いまだに「PER 136.9倍」です。

「PER 136.9倍」の人気の秘密に迫りたいと思います。

POINT

  1. 「HENNGE One」の導入社数が1,500社(2020年)=上場企業の10%を超える。
  2. 単価の引き上げに成功≒同業との差別化ができている
  3. 世界中から優秀なエンジニアを獲得(5人に1人が外国人)

どんな事業をしている会社か

一言で言うと

安心安全な

シングルサインオンサービス

(一つのID・パスワードでいろんなwebサービスを利用可能にするサービス)

「HENNGE One」

を提供している会社です。

なお、

「HENNGE One」事業はHENNGE(株)の売上の9割を占めてます

2021年9月期の「HENNGE One」事業の売上高 4,355百万円です。

「プロフェッショナル・サービス及び その他」事業の2021年9月期の売上高 は490百万円になります。

なお、「プロフェッショナル・サービス及び その他」事業の主な内容は、従来よ り販売してきたオンプレミス製品であり、その大部分は段階的に販売を終了する計画となってお ります。

引用:2022年9月期第2四半期決算 Q&A

世の中の流れが

自社でシステムを保有し運用するオンプレミスから

Webサービス(SaaS)の利用

になっているので、HENNGE(株)には、間違いない追い風が吹いてる状況です。

指標

  • 時価総額:373.7億円
  • 株価:1,150円
  • 予定年間配当:0円
  • 年間配当利回り:0%
  • 予想PER:136.9倍
  • PBR:18.3倍
    ※2022年5月23日終値時点のデータ

株主優待

なし

配当

なし

足元業績(儲かっているのか?売上はあがっているのか?)

増収・減益なるも最終は黒字確保。 

→理由は、HENNGE ONEの認知度向上のための広告費が大きいため。

※引用元:SBI証券

2021年度9月期における

売上高は、4,845百万円 前年度比15.7%増収

経常利益は、380百万円 前年度比-28.4%減益

当期利益は、224百万円 前年度比-36.9%減益

決算分析ポイント

キャッシュフロー

キャッシュフローは問題なし。

本業の稼ぐ力を表す営業CFも2021年9月期は、527百万円と前年同期比▲247百万円ですが、直近5期はきっちり黒字は確保しております。

投資CFは、営業CFの範囲内で行っているので、身の丈にあった投資方針です。

金融危機が起きても資金繰りは問題なさそうです。

BS(貸借対照表)について

心配な点は二点あります。

1.前払費用

黄色の枠の前払費用(539百万円)は、広告費(予想)になるため、換金性は無いですね。

2.投資その他の資産

赤色の枠の投資その他の資産(583百万円)は、未上場の他社への出資(予想)になるため、こちらも換金性は無いですね。

そのため、積極的な広告で予定していた売上が上がらない場合は、前払費用(539百万円)の減損リスクがあります。

また、投資先の会社とシナジーが出ない場合は、投資その他の資産(583百万円)の減損リスクがあります。

以上より、前払費用(539百万円)と投資その他の資産(583百万円)にて約1,000百万円の減損が生じる可能性があります。

評価できる点

貸借対照表(BS)で運転資金が要らないのは、良いですね。

HENNGE ONEの導入先は年払いが多く(予想)、契約負債という科目名で、利用料金が前払いされているので、運転資金はほぼ必要ないこともわかりました。銀行がいらないビジネスモデルですね。

立て替えとなる売掛金と前払費用(赤色の枠)の合計は2022年3月時点では、約700百万円ですが、HENNGE ONEの年会費と考えられる利用料の契約負債≒前受金(青色の枠)は、1,801百万円ですので、約1,100百万円程度、運転資金には余裕がありますね。

今後の見込み

まだまだこれから伸びていく業界ですので、国内のマーケット規模の信頼にたる資料は見つけれませんでした。

一方、HENNGE(株)の資料から、日本国内で58,532社が潜在顧客と判断しました。

”HENNGE(株)の中堅企業も加えたクラウド導入済み企業で考えるとシェアは1.7%(1,000/58,532)。”

”大規模企業をターゲットにしたSaaSで考えると市場シェアはクラウド導入済み企業の45%になります(1,000/2,200)”

出典:SaaSの市場規模/成長性を考える

ライバル企業

ITレビューによる口コミ件数の上位3位は以下の通りです。

Cloud Gate UNOを提供している株式会社インターナショナルシステムリサーチが非上場企業

のため財務情報得れず。また、利用者数等の発表もなし。

HENNGE(株)のプランはこれです。

引用:価格表

GMOグローバルサイン株式会社はこれ

引用:料金・機能

現時点(2022年5月時点)では、GMOグローバルサイン株式会社の価格設定および仕様からもHENNGE(株)の方がシングルサインオンサービスに関しては、優位性があると判断します。

 

 

参入障壁及び優位性

参入障壁は、一定規模の資本のある法人ならば参入は可能。参入障壁は極めて低い

優位性

1.社内公用語が英語であるため、世界中から優秀なエンジニアの確保ができる

”2019年9月の時点で、全体の22.35%、メンバーの5人に1人が外国籍となっています。”

”当社の公用語は英語となっています。2013年に英語化を宣言した際には、全社員のTOEICの平均点は300点台だったそうですが、3年間の猶予ののち、2016年10月から正式に社内で英語を使うようになりました。”

引用元:SaaSで採用が変わる

2.すでに上場企業のシェア率12%のトップシェア確保。

引用元:2020年9月期第4四半期 説明資料

3.運転資金が不要なビジネスモデルのため、手元キャッシュが豊富であり、潤沢にマーケティングに予算を割くことができる

株価予想

直近高値5,305円(2021年1月25日)がPER  630倍=5,305÷EPS 8.41(2022年9月期)

直近安値648円 (2022年3月16日)がPER 77.05倍=648÷EPS 8.41(2022年9月期)

投資フェーズの企業ですので、PERを見ても参考にならないですね。。

PSR(時価総額を年間売上高で割ったもの)は、3倍(株価648円)から29倍(株価5,305円)ですね。

一般にPSRは20倍以上だと割高、0.5倍以下なら割安とされてます。

現在(2022年5月)のマーケット環境ですと、PSR3倍前後の1000円以下で購入し、マーケットが落ち着いたら、徐々に利食いして行く感じを想定してます。

IRスケジュール

追伸

現在(2022年5月)、ハイテク株、グロース株を中心に叩き売られてます。

叩き売られた銘柄の中でも将来性があるものは、徐々に株価に織り込まれてきます。

今は絶好の銘柄を吟味する時期と踏んでます。