ロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年2月以降、サイバー攻撃が急増しています。
参考:ウクライナ侵攻前後に急増したサイバー攻撃の脅威、企業が今やるべきことは
そのため、今回はセキュリティー関係の銘柄を取り上げます。
ウルトラマンのCMを流している会社です。
ご存じでしょうか?
クラウド・セキュリティ分野で7年連続市場シェアNo.1を誇る「HENNGE One」を提供しているHENNGE(株)です。
今年に入り、管理人が取引先からの資料を受け取るときは、
「グーグルドライブ」か
「HENNGE Secure Transfer」です。
じわじわ、HENNGE(株)のサービスが浸透してるのを感じてます。
2022年5月時点の米国の金融引き締めに伴う全面安にも関わらず、
いまだに「PER 136.9倍」です。
「PER 136.9倍」の人気の秘密に迫りたいと思います。
POINT
- 「HENNGE One」の導入社数が1,500社(2020年)=上場企業の10%を超える。
- 単価の引き上げに成功≒同業との差別化ができている
- 世界中から優秀なエンジニアを獲得(5人に1人が外国人)
どんな事業をしている会社か
一言で言うと
安心安全な
シングルサインオンサービス
(一つのID・パスワードでいろんなwebサービスを利用可能にするサービス)
「HENNGE One」
を提供している会社です。
なお、
「HENNGE One」事業はHENNGE(株)の売上の9割を占めてます
2021年9月期の「HENNGE One」事業の売上高 4,355百万円です。
「プロフェッショナル・サービス及び その他」事業の2021年9月期の売上高 は490百万円になります。
なお、「プロフェッショナル・サービス及び その他」事業の主な内容は、従来よ り販売してきたオンプレミス製品であり、その大部分は段階的に販売を終了する計画となってお ります。
世の中の流れが
自社でシステムを保有し運用するオンプレミスから
Webサービス(SaaS)の利用
になっているので、HENNGE(株)には、間違いない追い風が吹いてる状況です。
指標
- 時価総額:373.7億円
- 株価:1,150円
- 予定年間配当:0円
- 年間配当利回り:0%
- 予想PER:136.9倍
- PBR:18.3倍
※2022年5月23日終値時点のデータ
株主優待
なし
配当
なし
足元業績(儲かっているのか?売上はあがっているのか?)
増収・減益なるも最終は黒字確保。
→理由は、HENNGE ONEの認知度向上のための広告費が大きいため。
※引用元:SBI証券
2021年度9月期における
売上高は、4,845百万円 前年度比15.7%増収
経常利益は、380百万円 前年度比-28.4%減益
当期利益は、224百万円 前年度比-36.9%減益
決算分析ポイント
キャッシュフロー
キャッシュフローは問題なし。
本業の稼ぐ力を表す営業CFも2021年9月期は、527百万円と前年同期比▲247百万円ですが、直近5期はきっちり黒字は確保しております。
投資CFは、営業CFの範囲内で行っているので、身の丈にあった投資方針です。
金融危機が起きても資金繰りは問題なさそうです。
BS(貸借対照表)について
心配な点は二点あります。
1.前払費用
黄色の枠の前払費用(539百万円)は、広告費(予想)になるため、換金性は無いですね。
2.投資その他の資産
赤色の枠の投資その他の資産(583百万円)は、未上場の他社への出資(予想)になるため、こちらも換金性は無いですね。
そのため、積極的な広告で予定していた売上が上がらない場合は、前払費用(539百万円)の減損リスクがあります。
また、投資先の会社とシナジーが出ない場合は、投資その他の資産(583百万円)の減損リスクがあります。
以上より、前払費用(539百万円)と投資その他の資産(583百万円)にて約1,000百万円の減損が生じる可能性があります。
評価できる点
貸借対照表(BS)で運転資金が要らないのは、良いですね。
HENNGE ONEの導入先は年払いが多く(予想)、契約負債という科目名で、利用料金が前払いされているので、運転資金はほぼ必要ないこともわかりました。銀行がいらないビジネスモデルですね。
立て替えとなる売掛金と前払費用(赤色の枠)の合計は2022年3月時点では、約700百万円ですが、HENNGE ONEの年会費と考えられる利用料の契約負債≒前受金(青色の枠)は、1,801百万円ですので、約1,100百万円程度、運転資金には余裕がありますね。
今後の見込み
まだまだこれから伸びていく業界ですので、国内のマーケット規模の信頼にたる資料は見つけれませんでした。
一方、HENNGE(株)の資料から、日本国内で58,532社が潜在顧客と判断しました。
”HENNGE(株)の中堅企業も加えたクラウド導入済み企業で考えるとシェアは1.7%(1,000/58,532)。”
”大規模企業をターゲットにしたSaaSで考えると市場シェアはクラウド導入済み企業の45%になります(1,000/2,200)”
ライバル企業
ITレビューによる口コミ件数の上位3位は以下の通りです。
Cloud Gate UNOを提供している株式会社インターナショナルシステムリサーチが非上場企業
のため財務情報得れず。また、利用者数等の発表もなし。
HENNGE(株)のプランはこれです。
引用:価格表
GMOグローバルサイン株式会社はこれ
引用:料金・機能
現時点(2022年5月時点)では、GMOグローバルサイン株式会社の価格設定および仕様からもHENNGE(株)の方がシングルサインオンサービスに関しては、優位性があると判断します。
参入障壁及び優位性
参入障壁は、一定規模の資本のある法人ならば参入は可能。参入障壁は極めて低い
優位性
1.社内公用語が英語であるため、世界中から優秀なエンジニアの確保ができる
”2019年9月の時点で、全体の22.35%、メンバーの5人に1人が外国籍となっています。”
”当社の公用語は英語となっています。2013年に英語化を宣言した際には、全社員のTOEICの平均点は300点台だったそうですが、3年間の猶予ののち、2016年10月から正式に社内で英語を使うようになりました。”
引用元:SaaSで採用が変わる
2.すでに上場企業のシェア率12%のトップシェア確保。
3.運転資金が不要なビジネスモデルのため、手元キャッシュが豊富であり、潤沢にマーケティングに予算を割くことができる
株価予想
直近高値5,305円(2021年1月25日)がPER 630倍=5,305÷EPS 8.41(2022年9月期)
直近安値648円 (2022年3月16日)がPER 77.05倍=648÷EPS 8.41(2022年9月期)
投資フェーズの企業ですので、PERを見ても参考にならないですね。。
PSR(時価総額を年間売上高で割ったもの)は、3倍(株価648円)から29倍(株価5,305円)ですね。
一般にPSRは20倍以上だと割高、0.5倍以下なら割安とされてます。
現在(2022年5月)のマーケット環境ですと、PSR3倍前後の1000円以下で購入し、マーケットが落ち着いたら、徐々に利食いして行く感じを想定してます。
IRスケジュール
追伸
現在(2022年5月)、ハイテク株、グロース株を中心に叩き売られてます。
叩き売られた銘柄の中でも将来性があるものは、徐々に株価に織り込まれてきます。
今は絶好の銘柄を吟味する時期と踏んでます。