(書評15)資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資 —余命宣告を受けた「バリュー投資家」の人生最後の教え —

対象者

  1. 長期投資を考えている方
  2. 株価の調整局面で売ってしまい後悔することが多い方
  3. 株価は会社の価値となぜかけ離れるのか知りたい方

書籍のキーワード

  1. バリュー投資 
  2. 超二流の才能 
  3. じっくりこつこつ

概要

著書の石川臨太郎氏の経歴は以下の通りです。

1954年生まれ、2019年没。1985年より株式投資を、1987年よりワンルームマンション投資を始める。仕事のストレスから体調を悪くしたことをきっかけに専業投資家になる。投資法は、中長期目線のバリュー投資。自らのブログを開設し、個人投資家への情報発信も行っていた。また、NPO法人イノベーターズ・フォーラムにて、『億の近道』という無料メルマガや、『生涯パートナー銘柄の研究』という有料メルマガを執筆していた。

かぶ1000氏と同じく石川氏もバリュー投資家になると思いますが、

管理人の感覚としては、

かぶ1000氏は、一定の基準で数ヶ月単位で銘柄の入れ替え実施。
石川氏はバフェット氏と同じように一度買ったら長期で銘柄をホールドするような印象を受けてます。

本書を読むと、暴落時でも
①バランスシートがしっかりしていて、
②きちんと成長が見込める銘柄
をキープするための必要なことが書いてます。

管理人独自の5個のポイント

第3節 株価はなぜリアルな価値から歪むのか (Kindle の位置No223)

上がらない、上がりそうにない企業の株に投資する投資家は少ないということなのです。どんなに低PER、かつ、低PBR、かつ、自己資本比率が高く業績が安定的に推移している銘柄でも、株価が上がらない理由が“そこ”にあります。投資家にこの企業に投資したいという欲望を持たせるための理由が少ないのです。

はじめて株を買ったときにありがちな株価があがらないケースですね。。
業績が今後上がっていくなどの投資家の射幸心を煽る「なにかが」ないと株は上がらないですね。。

第4節 生涯の安心を目指すなら「絶対不敗」の株式投資が必要 (Kindle の位置No.291)

  • 金融情勢が悪化して、株価が大きく下落し続けても、悲観しすぎて株式投資を投げてしまっては利益を上げられない
  • リスクからは逃げるものではなく、管理してリスクは取るものだ
  • 投資環境に一喜一憂して付和雷同してしまうのではなく、きちんと自分のリスクを管理しながら油断せず、冷静にリスクを取っておくべきだ


現在(2022年1月)FRBの金利引き上げでグロース株が大幅に調整しています。

このような相場環境においてきちんとした資金計画を持ち、

過去5年間のPER・PBRの推移、業績の見通しを踏まえ、

持ち続けることができる銘柄を選ぶことが非常に大事ということになりますかね。

第 5 節   無謀な行動を避け、 荒波を耐忍び、チャンス を 待つ 美学 (Kindle の位置No.615-616).

”業績相場が やってくる なら ば、 低 PER で 業績 が 上向い て いく こと が 確実視 さ れ て いる 銘柄 の うち、 財務 内容 が 良く、 資産 を たっぷり 持っ て いる 割安株 を 選ん で いく のが 良い 投資 戦略 だ と 考え て い ます。

業績相場の前は、金融相場です。
金融相場では、中央銀行の金利引き下げ、有価証券の買い入れ、
政府の大規模な財政政策によりPERが跳ね上がります。

そして、金融相場も終盤には、
徐々に中央銀行がインフレを意識し出し金利の引き上げが始まります。

このとき、10年物国債の金利が上がりだすと、
PERの逆数である益回り(一株当たり利益÷株価)と
金利の差が縮み、債券に比べた株式の魅力が落ち、
株式から短期資金が抜け、業績相場が到来します。

業績相場の最初の方は、金利がまだ上がる可能性があるので、
安心してホールドできるように
「きちんとした業績が見込め、かつ資産たっぷりの割安な投資先の株

を石川氏は推奨していたのが
最近身を持って実感しました。

第6節 株式投資をするなら覚えておきたい9つの話(Kindle の位置No.918).

”多くのウォッチ銘柄をもって、上げている銘柄がどんな事業を行っているかを考えれば、ミスター・マーケットが望む業種などの予想がある程度はわかります。”

石川氏は別のページで200程度のウオッチ銘柄があるとかいてました。

やはり、株価は先行指数なので、購入の検討リストとは別に
景気敏感株等のカテゴリー毎の分類をしておき
現在の投資環境がどうゆう状況なのかをきちんと見極めることが
株で勝つことに繋がりますね。

現在の資産だけを分析するのではなく、過去5年間の利益の変化、5年前のバランスシートと現在のバランスシートを比較して「どれほど資産が増えたか。どれほど借入を減らしたか」などを分析するようにしています

銀行時代、管理人は、取引先の10年分のバランスシートを見て、異常値(例:売掛金が以上に増えていないかなど)を中心に見ていました。

過去の1期、2期だけが売掛金が多い程度なら問題ありませんが、
キャッシュフローがマイナスになり、恒常的に売掛金が増加傾向の場合などは要注意でした。

また損益計算書の方は、赤字の有無以外に利益率の変化を見ていました。
利益率が変わるときは、たいてい商売の流れや仕方に変化が生じたときです。

結構時間がかかる作業ですが、きちんと行う必要があるということですね。。

本書を読むと今日からできる3つのポイント

  1. 株価が調整局面で狼狽売りしないようになれる
  2. 勝ち逃げする考え方を学べる
  3. ”業績相場”到来時に備えるべき銘柄を知れる

本日の書籍情報

【書籍名】資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資 —余命宣告を受けた「バリュー投資家」の人生最後の教え
【著者名】石川 臨太郎
【出版社】‎ パンローリング株式会社
【出版日】 2019/7/17
【オススメ度】5段階中5
【こんな時に】自分の投資方針に悩んでいるときに
【頁 数】287ページ
【目 次】
[第1部]資産を作るための株式投資編
[第2部]遺すための株式投資(資産運用)編
[第3部]これからの世代に書き残しておきたいこと